起きもせず寝もせで夜をあかしては春のものとてながめ暮しつ 名にしおはばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人は在りやなしやと 筒井つの井筒にかけしまろがたけすぎにけらしな妹見ざるまに くらべこしふりわけ髪も肩すぎぬ君ならずしてたれかあぐべき 君こむといひし夜ごとに過ぎぬればたのまぬものの恋ひつつぞふる 五月待つ花橘の香をかげばむかしの人の袖の香ぞする 君や来し我や行きけむおもほえず夢かうつつか寝てかさめてか かきくらす心の闇にまどひにき夢うつつとはこよひさだめよ 玉葛はふ木あまたになりぬれば絶えぬこころのうれしげもなし 年を経て住みこし里を出でていなばいとど深草野とやなりなむ 野とならば鶉となりてなきをらむ狩にだにやは君は来ざらむ つひにゆく道とはかねて聞きしかどきのふ今日とは思はざりしを